マーヨンブンタン!フィリピン・セブからタクです!今回は世界各国でWWJライターが同じ課題について考えるテーマ記事「この国で働いて困ったこと・日本との違い」。フィリピンでは意外とビジネス上で頭を抱えるほど困ることはないのですが、その中で筆者が感じる「素早いワンツーの大切さ」という感覚をご紹介します。

SPONSORED LINK

 

フィリピンというとしばしば「フィリピンタイム」という言葉を耳にすることがあります。これはフィリピンの人たちが時間にルーズで約束の時間を守らなかったり、仕事の〆切を守らないなど、否定的な意味合いが込められた言葉ですが、筆者はNGOで3年、仕事で2年セブに関わった中で「フィリピンタイム」が発生する場合には2つの異なる場面があることを自分なりに認識しています。そしてフィリピンの方々の名誉のためにもまず述べたいのは、ほとんどの方はしっかりとしていて、毎回毎回時間が遅れたり、物事の進捗が遅れてしまうということはありません。筆者が勤務する会社ではフィリピン人スタッフはしっかり定時までには出社して仕事をしていますし、日本よりは張り詰めた空気はないもののオフィスもしっかり機能しており、業務上で「フィリピンタイム」で頭を抱えるということはほぼありません。

そんなフィリピンの方々と行うビジネスですが、2つの「フィリピンタイム」発動条件について考えてみたいと思います。

 

フィリピンタイム発動条件 1

自身が大切ではないと考えたことに対して発動

 

日本でも「飲みに行こうよ!」と友人に言われて気乗りしないことは誰にでもあると思いますが、フィリピンの場合自分が気乗りしない約束で、かつそれが流れてしまっても大した問題にはならなかったする場合に明らかな「フィリピンタイム」が発動します。10人ぐらいで飲みに行くと行っていた話で、結局4人ぐらいしか集まらなかった、集まった人も全員30分〜1時間くらい遅れたというのはとても良くあるケース。こういったことは日本でも普通に起こり得ることであるし、フィリピン人だけがこういった行動を取るということではないと思いますが、5年現地に関わっていると、大抵「今日の飲み会はろくにメンバーが集まらないか、みんな遅刻するだろうな」という予想が的中してしまうのも面白いところではあります。

 

フィリピンタイム発動条件 2

想像より遥かに面倒な手続きのため、
仕方なく発動しているように見えてしまう

・・・「ワンツー」の高い意識で打開できる

フィリピンの人たちの仕事ぶりを見ていると、多くの人が感心してしまうほどしっかりと仕事をしていますし、何より人当たりが良く接客業では気持ちよく、嬉しい気持ちになるようなサービスが提供されています。彼らのビジネスに対する姿勢は日本人であっても見習うべき部分があると筆者は考えていますし、実際に一緒に働いていると学ぶことも多いと思います。

そんなフィリピンですが、ビジネスのスピード感を妨げる1つの大きな問題があります。それはデジタル化されていない書面の取り交わし、やり取りによってビジネスや諸手続きが進むケースが非常に多いこと、そしてその書面の数が膨大であるということです。

筆者は労働ビザを1年ごとに更新していますが、だいたい9月頃が自分の更新時期なので今年も既に手続きや入国管理局での面接などを終えたばかりですが、例えばこのビザ更新の手続きにあたって、何枚書類の申請が必要だと思いますか?驚くなかれ、本人がサインする書類だけで約15枚、更に別途申請用書類が20枚強あり、筆者が認識していない書面の取り交わしをオフィスのスタッフが代行してくれている分も含めると、1人のビザを申請するために推定50枚の書面が取り交わされているのです。

ビザは外国人の労働申請なので、書面の数はフィリピン人同士の国内ビジネスよりは多いことは考えられるものの、それでも50枚は多い。日本の各役所で住民票を引き出したりする際に書類を30枚も50枚も書かなければいけなかったら、大変な時間がかかりますよね。フィリピンの文化は日本よりも厳しく事実記録を残すことを重視しているため、ビジネスの様々な場面で大量の書面の確認やサイン入れが必要になってくるのです。

 

FC Bayern Muenchen v Borussia Dortmund - Bundesliga

 

写真転載元記事:http://sportiva.shueisha.co.jp/clm/wfootball/2014/11/02/post_672/

 

こういった背景から、日本人からすれば「フィリピンの人は対応が遅いなあ」と安易に思ってしまうようなことであっても、想像よりも遥かに大変な作業をフィリピンの人たちはこなしている場合があり、必然的にかかってしまう時間を「フィリピンタイム」と揶揄されてしまう不本意な結果に陥っている場合があります。

そんな中でいかに仕事を早く進めていくかを考えた時に、筆者の頭に浮かんだのはサッカー日本代表の香川真司選手のプレーでした。香川選手はドイツのブンデスリーガで活躍する日本でも一流のサッカー選手ですが、海外では身長が高い方ではなく、体格も見劣りする部分がある中で、様々な結果を残してドルトムントでも中心選手として活躍しています。その香川選手が得意とするのは、周りに比べれば小柄な体格と持ち合わせたスピードを活かした「ワンツー」というプレーです。

自分がボールを持って1人でゴールまで攻め上がるのではなく、周りの選手をうまく使いながらボールを上手く動かして最終的に自分に戻ってくるような動きをするプレーをサッカーではワンツーと呼び、ボールを持っている香川選手が「ワン」とすれば、近くにいて香川選手からパスを貰い、香川選手に更に有利な場所にボールを戻してあげる立場の人が「ツー」の動きをしていると言えます。このワンツーの動きが素早く正確であるほど、鮮やかに敵の選手を欺き、ゴールを決めることができるのです。

ワンツーに必要なのは「パスの正確さ」「ボールをやりとりする早さ」「ツーから戻ってくるボールのイメージを、パスの出し手と受け手が共有できているか」という主に3点であり、これがフィリピンのビジネスにばっちりと当てはまっています。

日本人とフィリピン人が協力してビジネスを進めていく際、膨大な書類を作っていかなければいけないフィリピン人サイドには一定の時間がかかることが既にわかっています。ワンツーの考え方「ボールをやりとりする早さ」は仕事をやりとりする早さと言え、まずは「日本人側が素早く求められたことを終わらせて、フィリピン人にパスを出す」ということが極めて重要であり、決められた時間の中で物事を進めていくために日本人側が意識してパスのスピードを早くして、自分から仕事を離していかないと全体の進行速度がどんどんと遅くなってしまいます。

また「パスの正確さ」という面でも日本人側に重きが置かれており、フィリピン人サイドから求められたことを正確にこなし、差し戻しや誤りを出さないように、求められた書面に対してきっちりと一つ一つ確認・対処していくことが重要です。更に「ツーから戻ってくるボールのイメージを、パスの出し手と受け手が共有できているか」という面でもお互いが「何のために仕事を進めていくのか」「協働して達成しようとしている目的は何か」ということを今一度確認し、目的達成のためにワンツーのスピードを早くしていく、物事の終着点を共有しておくことがとても大切です。

 

あまりにも多い書面や細かすぎる手続きの連続のため、やむを得ず時間が長くかかってしまうこともあるフィリピンでのビジネスですが、日本人とフィリピン人がタッグを組み物事に取り組んでいく際には、日本人側が出来るだけ素早く正確に求められたことに対処し、フィリピン人側が必要としている時間の余裕を作っていくことが大切なことであると筆者は考えています。

今回は香川選手の素早く鮮やかなワンツーを引き合いに、「フィリピンタイム」とフィリピンでのビジネスの雰囲気を少しご紹介しました。今後もフィリピン独特の面白いビジネスの視点があればご紹介していきたいと思います!

 

(倉田拓人/Taku)

The following two tabs change content below.
Takuto Kurata

Takuto Kurata

Manila Branch Manager at PTN Travel Corp,
W.W.J PROJECTを考えた人。2010年、フィリピン・セブで国際協力活動を行う「NGO FEST」を設立。現在は日本3支部体制に広がる。2012年には国際協力のプラットフォーム「UYIC」を設立。2013年8月よりフィリピンの旅行会社に転職しセブ島へ移住、その後マニラ支店設立・同士店長、現在は社会貢献事業を民間で行うためイスタンブールに移住。個人でブログ「20代の海外就職論!」を執筆中。