初めまして、この度WWJに加わりましたオランダ在住の行武(ゆくたけ)です。

 

「日本はヨーロッパ諸国に比べて労働生産性が低いから…」というフレーズは、日本での長時間労働の話が出た際によく見かけます。

 

ヨーロッパでも生産性の高さでは上位に位置するオランダの年間週平均労働時間は1,425時間。(日本は1,729時間=8時間労働として年間約38日間も多い!!)その背景にあると思われるオランダ人の働き方・考え方に関して、同僚の働き方や消費者の立場から私が気付いた3つのポイントについて紹介します。

 

1. 始業時間と終業時間どちらが重要か
2. スペシャリスト思考
3. 求められるサービスレベル

 

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始業時間と終業時間どちらが重要か

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オランダ人の定時退社への欲には並々ならぬものを感じることが多々あります。
(夕方に急ぎのお願いをして怒られたり、退社間近になって声をかけただけで「あー!明日にしてくれ!」と言われたり…)

 

しかし、そんな彼らもプロフェッショナルとして当然やるべき事はやっている訳で、業務量が多い時期に彼らがやるのが早朝出社。

 

「ただ勤務時間が後ろにズレているか、前にズレているかだけで結局変わらないんじゃないの?」と思われる方もいるかと思いますが、ケツが決まっているときの生産性の高まりについては以下の記事でも紹介されています。

 

早朝勤務なぜ広がる 残業減のほか思わぬ経済効果も

 

日本の企業でもいわゆる「朝残業」が奨励されている企業が増えてきていると聞くことがありますが、オランダ人はそれを知ってか知らずか自然と行っているわけです。

 

 

スペシャリスト思考

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自分の職業やその専門性にプライドを持っている人が多い反面、自らの業務内容(雇用契約書上に明記されているJob Description)でない事には手をつけようとしません。

 

「コレをこうしたいんだけど、手伝ってもらえないかな…?」と控えめにお願いすると「オレの仕事じゃないから無理」とキッパリ断られたり、「それはあいつの仕事だからあいつに頼んで」と言われ、その人のところへ行くと「あーそれはあいつ(別の人)に話して」とたらい回しにあうことも。

 

一度、この話を同僚とした際に「オレは今の職業をするのに必要な知識を身につけるために高等教育を受けたのに、何であえて他の人がやった方が効率的な仕事をやらないといけないのか理解できない。っていうか日本では大学の専攻と全然関係ない職につく人が多いって本当なの?なんで?」と逆質問されてしまったことがありました。

 

それぞれ自分が携わっている業務が一番得意なんだから、それ以外の事をやるよりも得意な事をそれぞれやった方が全体としても効率的じゃないかという、市場経済の大原則のような考え方のようです。

 

但し、彼らの更に面白いところは、きちんとその理由(一見関係なさそうだけど、実はあなたのこの知識やスキルがこの部分で欠かせないから、全体を通してお願いしたいんだよ等)を説明できると意外にすんなり引き受けてくれることもあり、理屈が通っているか(=納得できるか)というのも一つの大事なポイントだと感じます。

 

 

求められるサービスレベル

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最後は消費者としての目線ですが、オランダの平均的なサービスレベルは高くありません。
ある程度値の張るレストランでも接客がイマイチという事は多々あり、ネット回線の工事や水周りの修理なんかには、長期間かかることがあります。

 

一時帰国の際に日本へ戻ると、そのサービスの良さ(というか接客の丁寧さ)に感動しっぱなしです。但し、実はここに生産性や労働時間の話に関する鍵が潜んでいるのでは、と私は考えています。

 

個人的な感覚ですが、日本でのサービス期待値が10とすると、オランダは恐らく5くらい。
ただし、重要なのは、この期待値がサービスを受ける側だけではなく、サービスを提供する側からも感じられるという事です。

 

日本では「お客様は神様」の精神のもと、支払われる金額に関係のなく一定レベルのサービスが(明言されずとも)要求され、そしてサービス提供者もそれに応えてしまっている一方、オランダでは「お金とサービス/物の等価交換」という冷静な取引が行われています。

 

つまり、日本は消費者として受けることのできるサービスレベルは高いけど、いざ自分がサービス提供側にまわると要求されるレベルも高い。逆にオランダは、受けるサービスレベルは低いけど、サービス提供者としてお客に怯えながら働く必要がない。

 

この違いには、国民性や歴史的な背景などもあってすぐに変わる事はないだろうし、
そもそもどちらが良い悪いという話ではありませんが、私は「まぁいいじゃん」とあまりイライラする事もないのでオランダタイプの方が性に合っていて心地いいです。

 

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Atsushi Yukutake
徳島生まれ香川・千葉育ちの88年世代。24歳のとき転職を機にオランダへ移住。その後オランダで転職を経験し、現在は翻訳者・カメラマンとしてフリーランス活動中。趣味はライブ鑑賞。ウェブサイトはこちら