WEBマガジンというメディアが一般に浸透する中、低コストでメディアを立ち上げられるということもあり、コンテンツ量は爆発的に増え続けています。そんな中、コンテンツの質や、コンテンツを選ぶキュレーターの力は、紙媒体が主流だった時代よりも重要になってきていると言えます。

そんなWEBメディア興隆の時代に一石を投じようとしている「The Correspondent」は、2013年に8日間で900,000ユーロ(=今日のレートで1億円強)をクラウドファンドで調達したことで有名になった、オランダのジャーナリズムプラットフォームです。

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The Correspondentは、オランダ国内で有名なジャーナリストを囲い込み、ニュースサイトのようにその時々の流行を追うのではなく、一人ひとりのジャーナリストの専門性を活かした記事が特徴。

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The Correspondentのウェブサイトより

スタート時は、オランダ人のオランダ人によるオランダ人のための(とちょっとベルギー人も)ということで、ウェブサイトも記事も全てオランダ語でしたが、2015年から英語版のウェブサイトが用意されが英語記事も段々と増えてきました。

広告無し!

The Correspondentのメンバー
The Correspondentのメンバー

メインストリームメディアとは違った物語を読者に届ける、ということを使命にしているThe Correspondentのサイトや記事には、広告が全く掲載されていません。

運営のための費用は、有料会員(月会費6ユーロ、年会費60ユーロ)からの会員費からまかなわれており、公開以降順調に増えてきた会員数は、2015年12月時点で40,000人を突破しています。

オランダの人口が約1700万人であることを考慮し、会員数をアメリカ(人口約3億2000万人)に置き換えると750,000人の購読者がいることとなります。購読者が750,000人を超えるメディアは、The New York Timesとthe Wall Street Journalだけということを考えるとその凄さがわかります。

 

タイポグラフィの美しさ

Why Talking Is Lying by Rob Wijnbergより
Why Talking Is Lying by Rob Wijnbergより

 

オランダのデザイン会社Momkaiが、サイトデザインやブランドアイデンティティを担当したウェブサイトは無駄がなく美しいです。注目すべきはタイポグラフィ。

記事には、ドロップキャップが使われクラシックな印象を与えながらも、タイトルや引用部のフォントにはデザイン性があふれています。サイト全体を通して使われている色の数も少なく、各色とも明度・彩度が抑えてあるので、バラエティはありながらもギラギラしておらず、「読む」という作業に集中できるようになっています。

通常であれば、脚注に記載される内容も、ウェブの特性を利用して綺麗に、わかりやすく表示されています。

Why Talking Is Lying by Rob Wijnbergより
Why Talking Is Lying by Rob Wijnbergより

それぞれの記事は、各分野専門のジャーナリストによって書かれているため読み応えがかなりある一方、英語コンテンツの数は限られているので、今後のコンテンツ増加に期待したいところ。

今後は、世界各国でその国のジャーナリストとパートナーシップを結びながらといった展開も十分考えられますが、いかに今のクオリティを保つことができるのか、つまり現在のメンバーが信頼するに足る人材を見つけることができるのかというのが重要になってきます。

情報が無料のように見える時代だからこそ、お金を払って良質な情報を手に入れる。そんな動きが今後(もしくは既に)世界中で起きていくかもしれません。

 

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Atsushi Yukutake
徳島生まれ香川・千葉育ちの88年世代。24歳のとき転職を機にオランダへ移住。その後オランダで転職を経験し、現在は翻訳者・カメラマンとしてフリーランス活動中。趣味はライブ鑑賞。ウェブサイトはこちら