30万円を間違って使われてしまった。

10月のことだ。

これはプロジェクトのために、約半年かけて50社以上の地元企業をまわり一生懸命集めたお金で、キックオフイベントの日時も決まったところだった。

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何故30万円を使われてしまったのか

経理部長は口をとがらせて「私は悪くない」と言い張る。

よくよく聞けば、30万円を支援してくれた企業は3か月も前に口座にお金を入れてくれていたとのこと。先方は恐らく郡役所側が気が付くと思ったのか、特に連絡もなかった。

そして当時はまだプロジェクト用アカウントを開設していなかったため、郡役所が普段使っている口座に入金してくれていた・・・

つまり、彼女は気が付かず「使っちゃったよ」ということらしい。

「連絡しなかった企業が悪い」と。

 

 

私ももっと注意すれば良かったし、いろいろな不手際が重なってしまったことは否めない。

だけど誰から、いくらの、お金が入ったのかをきちんとチェックするのが、経理部の仕事だと思うし、何より30万円なんて少なくはない額のイレギュラーなお金が入っていて気が付かないとはどういうことなのかという憤然とした気持ちはあった。

 

その場では、キックオフイベントが開催される翌週までに、経理部長が「なんとかする」という話で収まったので、気持ちを飲み込みおとなしく撤退。

 

 

募る同僚への不信感

しかし案の定、イベントの3日前になっても経理部長は何もしていなかった。

私は悪くないの一点張りで、特にこの状況をフォローする様子も見せなかった。

さらに驚いたのは、一緒に頑張ってきたプロジェクトメンバーがその状況に怒らなかったことである。

すぐに議論が始まった。

「イベントのお金は後払いで交渉しよう」

「Akane、あんたのお金で少し建て替えられない?」

なんと建設的な議論なんだ・・・とはならなかった。私1人だけは。

これだけアウェイな状況に置かれたことは、なかなかないのではないか、、、

どうしても気持ちが収まらず

1人で経理部に乗り込んで、キレた。笑

 

日本と同じく年功序列社会であるガーナでは、年下が年上に、しかも経理部長という地位の人に、そのような立ち振る舞いをすることはタブーである(と思う)。

けど抑えきれなかった、ごめんなさい。

後日談ではあるが、

経理部へは実質出禁になった。

 

 

その後もなぜか怒らない同僚を含め、この状況全てにイライラしていた私だが、イベントはなんとか成功。30万円も後日返却するという話にはなっている。

過程がどうであれ、結果が良ければよく頑張ったと称え合うのがガーナ流。

気持ちは晴れず、職場への不信感と何だかよく分からないモヤモヤ感だけが残った。

 

職場外でよく助けてもらっているガーナ人は、

「そこで怒らないということは、同僚はそこまでプロジェクトに真剣じゃなかったんだね。これは彼らのプロジェクトじゃなくてあなたのプロジェクトだ。BE STRONG!! 何としてでもお金を取り返そう。」

と声をかけてくれた。

あまりにアウェイな状況だったので、完全に私と同じことを考え口にした彼の存在にどれだけほっとしたことか。

 

それと同時に同僚や職場への不信感は日増しに強くなっていった。

 

 

気がついた自分の間違い

しかし数週間経つにつれ、その気持ちは変わっていった。

30万円のお金が手に入らず、活動に制限がかかる中でも同僚は立ち止まらなかった。

そのお金がなくても何ができるのか、どうしたらいいのか、を考えて動いていた。

それを見て私は自分の間違いに気がついた。

あの時経理部長に怒らなかった同僚は、この活動に真剣じゃなかったわけではない。

 

個人的には、経理部長にキレたことは、やり方は良くなかっただろうけど後悔はしていない。やっぱりあれは許せなかった。

 

だけど、彼女に対して怒らなかった同僚に「怒らないっていうことは本気じゃないんだ」などと間違っても思うべきではなかったのだ。

誰しも感情の抱き方はそれぞれだ。

 

そういえば私も日本人から同じような言葉をぶつけられたことがあった。

「遠慮しないで怒っていいんだよ」

「そこで嫌われてでもはっきり言えないってことは、あなたはまだまだ真剣じゃないんだね」

とても乱暴な言葉だと思った。

そもそも私はちっとも怒っていないのに。

当然のように、相手が自分と同じ感情を持つと決めつけて発せられるその言葉が、恐ろしく悔しかった。

 

なのに、私は気が付かないうちに同じことをしてしまっていたのだ。

 

私は私で自分の感情通りに動いた。そしてそれは恐らく日本で20数年培ってきた感覚に基づいている。同僚は同僚で自分の感情通りに動いた。もちろんこれまでガーナで生きてきた中でやってきたように。

当然抱く感情は違うだろう。

でも、そこに「プロジェクトへの真剣さの違い」はなかったのだ。

 

 

それが分かった時、もやもやがさーっと消えた。

もちろんとっても反省した。

同僚と一緒にもうちょっと頑張ってみようと思った。

 

 

毒に頼らない道

なんで?どうして?ありえない!!

日本では経験したことがないようなことがたくさん起こるガーナ生活。ともすればそんな風に批判ばっかりしてしまう自分がいる。

よく真意を確認すらせずに、キツイ言葉を投げかけていることも少なくない。

 

先日ジャーナリスト・安田菜津紀さんの「毒」というコラムを読んではっとさせられた。

 

誰かの至らないところを責め立てるより、その社会が抱える問題を和らげていくために行動する方がよほど難しい。
この仕事をしていると時々、毒気のある言葉に頼りたくなることがある。より注意を引き、人の感情を波立たせ、物事の白黒がはっきりすればどこか安心したような気持になる。
心のひだに、言葉の毒気が容赦なく注がれる。優しい人たちはまともにそれを吸収し、自分を傷つけ、命を絶つことがある。それを錆びない記憶として刻む限り、私は毒に頼らない道を選びたいと思う。

http://kangaeruhito.jp/articles/-/1793

 

気がついたら、毒だらけだった自分の言葉を今一度振り返り、私も毒に頼らない道を選びたいと強く思った。

変わらなきゃいけないところは変えていこう。

変わるべきじゃないところはぶつかっても曲げずに凛としていよう。

そのバランスがよく分からなくなって、苦しくてしんどいことがたくさんあるけど、模索していこう。

と決意したガーナ生活13ヶ月目の出来事だった。

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Akane Kobayashi

Akane Kobayashi

大学を卒業後、2015年9月末から、27年度2次隊として西アフリカのガーナ共和国に赴任。職種は何でも屋さんのコミュニティ開発。専門性がないことを専門にしたい。幸せを感じるのは、会いたい人に会って行きたい場所に行くこと。ビールも日本酒も大好き。