近年、現地採用扱いで東南アジアで働く方々が増えているようです。大陸エリアではベトナム、タイ、カンボジア、マレーシア、シンガポール、島国ではインドネシアとフィリピンが特に人気があります。今回はその中のフィリピンで働く筆者が現地で感じることについていくつかご紹介したいと思います。

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東南アジアで仕事を見つける方の中には、様々な理由があると思います。日本ではなく海外のビジネスを学びたい、東南アジアの経済成長を身をもって感じたい、外国人と仕事をする経験を積みたい、などなど。それらの目的が現地に移住して実際に達成されるのかどうかは、事前にによく情報収集をして頂きたいと思いますし、そのためにWWJが活かされることを願っております。

筆者は2010年に設立したNGOの支援先がフィリピンのセブ島となったことからフィリピンという国に縁が生まれました。その後、2013年にセブ島に移住して支援先の状況を見ながら仕事を見つけ、現在は首都のマニラに移住して仕事を続けています。

そんな経験から、フィリピンで働く上でこんなことを感じるよ!というのを実体験ベースにして3つご紹介したいと思います。

1 日本式のビジネススタイルは東南アジアでなかなか通用しない

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「なかなか」通用しない、ということは一言では語りきれないものです。本来、海外で仕事をするということはその土地の文化に適応しながら自分たちに対して利益を発生させる術を身に着け、実行することであると思います。

日本式の仕事でフィリピンで最も通用しないことは「仕事を相手に任せるなら、全てに対して責任を取らなければいけない、結果的に仕事を任せるというのは難しい」であると思います。フィリピンの方々の印象を日本で友人に聞いてみると、「時間にルーズ」「怠惰」という声がある一方「明るい」という印象も少なからずあるようです。確かに、フィリピンの人たちは非常に明るく、ラテン系のノリを感じます。これは国が辿ってきた歴史背景にも起因するものです。時間にルーズであったり、怠惰であることは日本でも人次第であり、フィリピンでも同じ。真面目に仕事をする人もいれば、いわゆるニートの状態になってしまう人もいます。この点は、どこの国でも似たようなことが言えるでしょう。

最も通用しないポイントを上で挙げましたが、フィリピンの方々の傾向として見られるのが「先の一手があまり見えていない」という点です。例えば最近筆者はオフィスを移転し、新しいオフィスの内装を業者に依頼しました。床タイルの張り替え、壁の塗装、及び全体の清掃が主な依頼内容でした。

日本であれば、床タイルの張り替えは清掃や塗装よりも後になるのが当たり前であると思います。なぜなら、先にタイルを張ってしまうとその後の作業の中で床面が汚れ、引き渡しの際に再度清掃作業が発生するからです。しかしながらそういった順番の指示を出さなければ、フィリピンの方々は「できることからとりあえず進めていく」ことになります。日本人からするとちょっと知恵が足りないのでは?と感じるかもしれませんが、こういった場面は非常に多く、現地に住んでいる日本人の考え方からすれば「指示を出さなければ、上手く進まないのは当たり前」ということになります。

仕事の予定や準備1つ取っても、フィリピンの方々にお願いするのであれば自らの責任の元に全ての情報を事細かく共有し、それに沿って進んでもらわなければ日本人サイドが満足できる結果は導くことができません。また、その共有が1つでも甘ければ、その場でフィリピンの方々が自らの判断によって修正してくれたり、質問を投げ返してくれることもまずもって期待できません。そういったことを踏まえて、現地でビジネスを展開していく必要があります。

 

2 英語でのコミュニケーションは取れるが、やはり現地語がベター

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フィリピンは東南アジアの中で最も英語が通じる国の一つとして知られています。長年フィリピンに関わっている筆者ですが、先日インドネシアを訪れた際に街中でほぼ英語が通じないことには驚かされました。それだけ、フィリピンの方々が英語を理解し、日常的に活用しているということが言えると思います。

しかしながら彼らの英文法や発音は、現地の言葉であるタガログ語をベースにして使われています。タガログ語がわかってきた後に彼らの英語を聞いてみると、「ああ、これは頭の中でタガログ語を英語に直訳して話しているな」ということがよく分かるのです。

フィリピンで外国人が仕事をする場合、ほとんどのケースで英語がオフィスの公用語になります。ただ、会話のレベルがある一定のラインを超えてくると、フィリピンの方々が理解できなかったり、理解できても返答できなかったりする場面に出会います。このような場合、外国人側が彼らの側に立って考えれば、もちろん現地の言葉を私たちが理解できたほうがより的確なコミュニケーションを取ることができますし、少なくとも単語の羅列が理解できるようになれば、フィリピン人同士で話しているミィーティングの内容を理解できるようにもなってきます。海外で働くには、現地の方々の信頼を獲得しなければどうしたって前には進めません。英語だけでグイグイ押していくだけではなく、自分たちも寄り添って学ぶことが求められると思います。

3 日本人とのビジネスをする場合には、日本人スタッフの責任が非常に大きい

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1の項目でご紹介したように、フィリピン人の多くと日本人の思考の方法は根本的に異なる部分が少なからずあります。これを解決するには日本人側の努力が2の内容も含めて必須と言えるでしょう。

そして最後の項目で考えたいのはビジネスにおける責任の問題です。仮にビジネスを立ち上げ日本人がトップに立つ形で、フィリピン人スタッフを各ポジションに振り分けた場合、本来であれば各セクションが責任を持って業務を担当してもらいたいものです。しかしながら、最終のチェックは各セクションで留まることはなく、全てが日本人に回ってくることになります。なぜなら、1でご紹介したように「このやり方では後々行き詰まる、壁に当たる」ということを見通せることは日本人の方が高いことが多く、(能力の違いではなく根本的に思考の方法が違うということ)任せきりにしているとどんどんと途中で問題が生まれてきてしまうからです。

日本の仕事の多くはまだまだ「ハンコ社会」であり、上司の承認を得て業務を進めていきます。しかし、その承認はある程度形骸化しており仕事の過程の中に組み込まれているに過ぎない部分もあると思います。フィリピンで日本人が働くと、その承認は毎回、それが小さなことであっても、かなりシビアに全てをチェックする責任を負います。小さな会社であっても、上がってきたものには間違いがあるという目で細部まで勘ぐって確認をしなければいけません。

また、フィリピンでの仕事では1つ難しい部分があり、それは「責任転嫁が横行する」ことです。Aという社員がミスを起こしてしまったとして、その社員と日本人が話をしてみると「Bがいけない、私は悪くない」といって謝罪をしない、また解決策を一緒に考えるような展開には大抵なっていきません。フィリピン人は比較的プライドが高く、人前で叱責されるとすぐにやめてしまったりするケースもあります。あくまでも日本人が全ての責任を追って全ての業務を遂行することが求められるので、日本での仕事よりも遥かに分業が難しく負担が大きくなることを知っておくと良いと思います。


今回はフィリピンで実際に働いている筆者が、フィリピンの方々との仕事の中で実際に感じた3つの苦労するポイントについて紹介してみました。今後別記事では、フィリピンにビジネスで進出を検討されている方にご紹介したい、「フィリピンビジネス設立で苦労する思わぬ落とし穴」についても執筆します!

(倉田拓人/Taku)

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Takuto Kurata

Takuto Kurata

Manila Branch Manager at PTN Travel Corp,
W.W.J PROJECTを考えた人。2010年、フィリピン・セブで国際協力活動を行う「NGO FEST」を設立。現在は日本3支部体制に広がる。2012年には国際協力のプラットフォーム「UYIC」を設立。2013年8月よりフィリピンの旅行会社に転職しセブ島へ移住、その後マニラ支店設立・同士店長、現在は社会貢献事業を民間で行うためイスタンブールに移住。個人でブログ「20代の海外就職論!」を執筆中。