いつも遊びに行っては、家族団らんに混ぜてもらい、ご飯をいただく農家さんがいる。
かれこれ1年の付き合いだ。
決して裕福とは言えない。
父は炎天下の中片道30分も歩いて毎日畑に通う働き者。しかし灌漑施設などがある訳もない。乾期になると作物がとれなくなるため、5~6時間離れた都市へ出稼ぎにでる。なんとかお金を工面して長女を大学に入れたものの、途中で経済的に厳しくなり今はストップしている。農業による稼ぎは十分ではなく、母は毎日大量のガーナ食を作り薄暗くなった町に売りに出る。

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厳しい生活であるが、みんな本当によく笑う。
ちょっと呆れてしまうほどよく笑う。
そして外国人の私に快く食べきれないほどたくさんのご飯を出してくれる。
高価な鶏肉や燻製の魚もたくさん入れてくれる。
ある日いつも通りご飯を作りながら、お母さんが言った。
エウィエムフォー
何故か耳に残る言葉だったから、どういう意味か聞いたら
I am not poor, I am not rich.(私は貧乏ではないし、お金持ちでもない)」
例えばあなたがお金がなくてスープに鶏肉を入れられなかったとしても、この言葉を呟くのよ。
You eat what you have.(あるものを食べる
咄嗟に「足るを知る」という言葉が頭に思い浮かんだ。
そしてガーナでもその状態が心豊かで、いいことであると捉えられていることが分かり、なんだか温かい気持ちになった。とても大事なことを教えられた気がした。

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また別の家族の話。
私の家があるところは比較的裕福な層が住む地域であるが、少し奥まったところに電気も水も通っていない集落がある。
「歴史民俗博物館みたいだ」
日本から来た友達がそう表現したが、まさにそれがしっくりくるような茅葺きの屋根と、泥を固めた壁のお家。
そして周りは溢れんばかりの緑に囲まれていて、猫・犬・アヒル・七面鳥が家の前を闊歩している。このお家に行くたびに心地よい時間の流れに身をゆだねながら、木陰に腰かけポツンポツンと会話をするのが私の好きな時間だ。

この家に住むRobert(30代男性)は、私と同じかそれ以上英語が喋れるため、会話にはさほど困らない。電気が通ってないのにも関わらず、彼は携帯電話を持っている(親戚の家で充電させてもらっているようだ)。そして驚いたことに子どもたちは私立の小学校に通っているのだ(ガーナは日本と同じく中学校まで義務教育で、公立学校ならば無料で教育が受けられる)。
ライフスタイルは自分で選べるし、お金の使い方の優先順位は人それぞれなんだなと思う。この1年間の付き合いで、なんとなくではあるが、彼らは自分で選んでこの生活をしているような気がしている。自然の中であるものを食べ、あるもので生きる。
日本人がこのお家に急に来たら、もしかしたら「お金がなくて可哀想に」という発想になってしまうかもしれない。お恥ずかしいが、私も最初そういう感情が片隅にあったことは否定できない。
もちろん、例えば何か病気などを患った時に医療費が払えず医者にかかれない、そういったことは十分にあり得る。そのためのセキュリティネットを整えていくことはとても大切であると思う。しかし、彼らの生活から学ぶことは本当に大きいし、彼らとの出会いは私の今後の人生を変えるほど大きな意味を持つものになったと思う。

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クリスマスのご馳走。お米は高くてなかなか食べれない。

足るを知ること。
「エウィエムフォー」を呪文のように心に刻んだ。

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Akane Kobayashi

Akane Kobayashi

大学を卒業後、2015年9月末から、27年度2次隊として西アフリカのガーナ共和国に赴任。職種は何でも屋さんのコミュニティ開発。専門性がないことを専門にしたい。幸せを感じるのは、会いたい人に会って行きたい場所に行くこと。ビールも日本酒も大好き。